NO MUSIC FIGHTER

音楽の話と音楽じゃない話をしようよ

MUGAMICHIRU@新宿PIT INN

音も空間も情景も、すべてが美しいライブでした。素晴らしかった。

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2017/4/19 wed
MUGAMICHIRU
at PIT INN
open 19:30 start 20:00
¥3,500

昨年12月に六本木でお披露目された中村達也&ナカコー&ナスノミツルのユニットMUGAMICHIRU、まさかのピットイン夜の部でライブだというので速攻で予約を取って行ってきました。
本当に素晴らしいライブでした。週の真ん中水曜日かつ遅い時間帯のライブでしたが、行ってよかったです。大満足。

ライブの感想

久しぶりのピットイン。
ピットインでジャズ以外を聴いたことがないのですが、こういうのもたまにやっているのかな?よくわかんない。

受付でお金を払ってドリンクを交換して、空いていた上手の席へ。
この日は自転車だったのでお酒じゃなくてコーヒーにしました。ドリンクでホットコーヒーがあるって嬉しい、コーヒーがあるならお酒飲めなくても残念だなって気持ちにならない。ごく普通の薄めのドリップコーヒーで香りも味も安っぽいといえば安っぽいのだけれど、こういうコーヒーって自宅感があるというか、日曜日の朝にコーヒーメーカーでドカッと作ったコーヒーみたいな感じがしてなんかすき。

ちまちまコーヒーを飲んで待っていたら、メンバーが入場して開演。

始まりはやわらかいシンセの音から。六本木はある種不穏というか、魔術的というか、そういった少し怪しくダークな雰囲気で始まりましたが、この日はドリーミーな印象でスタート。メインフレーズを何度も何度もループしながら、少しずつアレンジやリズムが変わっていく、座標をずらされていくみたいな感覚がたまらない。
音の洪水みたいになっていくシンセと弦楽器の音、それらは混然一体となって、プレイヤーの手元が見えない状況だと誰がなにを弾いているのかよくわからないくらい。そんな中に、ふっとドラムが入ってきた瞬間に空気が揺れる感じ、いや音が鳴ってるんだから当然振動はずっとしているのだけれどそうじゃなくって、複数の音がひとつのものみたいに鳴っている空間に明らかな異物である音がすっと入ってきて「ひとつのもの」になっている音を揺らす感じ、が本当にゾクゾクする。
二部構成の前半において、数曲演奏されたのち流れるように最初のメインフレーズに回帰したときは本当に鳥肌が立った。螺旋を描く酩酊感と陶酔感、聴いているだけで違う世界にトリップできるようだった。MUGAMICHIRUは「夢が満ちる」で「無が満ちる」だと認識しているのですが、まさにその通りの音でした。

3人とも素晴らしいプレイヤーだと思っているけれど、この日は特に達也さんのドラムにぐいぐい引き込まれました。ドラムだけの部分は特に、その表情の豊かさに圧倒された。叩きすぎることなく、かといって大人しくもなく、一音一音の存在感が凄まじくて。単純に音階が綺麗に設定されていてメロディックで美しかったという点もそうだけど、鳴らし方とか止め方、音の構成の仕方、ひとつひとつが抜群に素晴らしくって「ああ今日ここに来て本当によかったな」と何度も思わされました。美しかった。

MUGAMICHIRU、前回も今回も素晴らしかったので、東京でやるときは毎回観たいなあ。

そうそう、今回はコーヒーを飲みながら座って聴けたので、前回より音に集中できてよかった。前回も椅子はあったんだけど、行くのが遅くて全部埋まってて、立ち見だったんだよね。MUGAMICHIRUは座って目を閉じて没入しながら聴きたい。
シンプルなライティングと幻想的かつドープなサウンド、ストイックなプレイスタイルは、老舗のジャズクラブであるピットインという場所にも不思議とぴったりとハマっていました。前回のスーパーデラックスもいい箱だったし、これからも雰囲気のいいライブハウスでじっくりと聴かせてくれると嬉しいな。

終演後は、ナスノさんがMCで紹介していた彼らのCDを買いました。こちらも素晴らしかったです。満足。