NO MUSIC FIGHTER

音楽の話と音楽じゃない話をしようよ

clammbon@日比谷野外大音楽堂(2017年)

東京のど真ん中に響く美しい音楽と鮮やかな光、浮かんでは消えてを繰り返す無数のシャボン玉たち。美しいライブでした。

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2017/5/3 wed
クラムボン
at 日比谷野外大音楽堂
open 16:30 start 17:30
¥3,500

セットリスト

  1. Re-ある鼓動
  2. NOW!!!
  3. パンと蜜を召し上がれ
  4. GOOD TIME MUSIC
  5. はなればなれ
  6. サラウンド
  7. 090
  8. 便箋歌
  9. tayu-tau
  10. Long Song
  11. tiny pride
  12. バイタルサイン
  13. KANADE Dance
  14. シカゴ
  15. yet
  16. 新曲(レーゾンデートル
  17. あかり from HERE featuring ILL-BOSSTINO
  18. slight slight
EN
  1. 波よせて
  2. 新曲(タイムライン)
  3. Folklore

ライブの感想

初夏の野音クラムボン、という時点でどう転んでも楽しいに決まっているので観る前から楽しいことは確定していたのですが、案の定楽しかったし、それ以上に美しかったです。

同じ意見の人多いと思うけど、わたし本当に初夏の、5月の野音が大好きで。
官公庁が立ち並ぶ東京の中心街で、高層ビルだらけの街の中、あそこだけポッカリと開けていて、鬱蒼とした緑に囲まれていて。すり鉢っぽい感じの造りも含めて、底で生まれた音がどんどん高く上昇して空に拡がっていくような、あの感覚がたまらなくって。そしてそれが暑くも寒くもなく鮮やかな緑が映える5月だと、たまらなく素晴らしい空間になって。そこから徐々に暮れていく空と、影と、音とが全て一枚の絵画みたいに混ざり合っていく情景が、なにものにも代えがたいくらい美しくって。

野音はアーティスト側も昼から夜への時間の移り変わりを意識したセットリストを組んでくれるから、アーティスト側がどんなデザインでライブを作ろうとしているのか、という意識も強く感じ取れるところが大好き。

そしてこの日のクラムボンのセットリスト、本当に素晴らしかった。

最初の方は軽やかに楽しめるノリのいい曲、華やかで楽しくって、そして緩やかに陽が落ちてゆくにつれてじっくりと聴けるミドルテンポの曲たちが組み込まれていって、すっかりと夜になったら鮮やかな照明が会場中を作品のように映し出すキラーチューンの連続!

特に夕方から夜に推移するあの時間に演奏された「Long Song」、本当に素晴らしかった。
少しずつ熱量が上がっていくような抑制されたリズム、跳ねる光の粒みたいなピアノ、どこまでも伸びやかに広がっていく原田さんの声。会場中が一緒に歌いながら、無数のシャボン玉が光を反射しながら、夜が更けていくあの情景。あまりに美しくて鳥肌が立った。
ループしながら上昇していくような、そういう楽曲が野音には本当に合うと思うんですよ。あまりにも気持ちよくって、永遠に聴いていたいと思った。


↑の動画は2007年野音での「Long Song」だよ。

あと印象的だったのは、ILL-BOSSTINOがシークレットでゲスト参加した「あかり from HERE」。ブルーハーブとコラボでリリースされたこの曲、実はわたしクラムボン単独アレンジの方が好きなんですが、彼が出てきて声を出した瞬間のガツンと会場中を掴んで引きずり込むような吸引力には脱帽しました。
この頃には、周囲は完全に夜。真っ暗な空とまばらに明かりのついたビル、そして眩い照明に彩られる目の前のステージ。言葉の意味やうねるようなグルーヴと相まって、凄まじいカタルシスがありました。

アンコールもすごくよかったな。
フロア全員で大合唱してちょー気持ちよかった「波よせて」も、タイトに繰り返されるフレーズがいかにも今この瞬間を切り取る「タイムライン」のように聴こえた新曲も、そしてオーラスに披露された「Folklore」も。

美しく素晴らしい映画のような、うねりと興奮とあたたかさのあるセットリストと演奏でした。行ってよかった。

そうそう、新曲といえば本編中に「レーゾンデートル」(たぶん)というタイトルのものも披露されていました。こちらも刻む音が気持ちよくって、思わず踊っちゃうような良曲でした。新譜が楽しみ。

ちょー楽しかったから終演後そのまま次のO-EASTのチケットを買って(イーストで2,500円!まじ普通のライブイベントがイベンターやら事務所やらの中間マージンでどれだけ取られているのか……と一瞬真顔になりました。いや、すごくいい仕事してるイベンターとか事務所とかたくさんあるし、クラムボンみたいな体制を作るのは本当に難しいから “全てこう在るべき!” とは全然思わないんだけどね)、「野音終わってから決めよう」と保留にしていたクラウドファンディングにも参加しました。結局一番フツーの6,000円のコースにしたよ~。打ち上げライブが気になるんだけど、日付発表されないんだもん!配信されても観れない日程だったら意味ないじゃん。アーカイブを見れるのかどうかも明記されてないから不安だしさ~。

とにかく、本当に素晴らしいライブでした。セットリストも、演奏も、情景も全て。美しい時間をありがとう。DVDが楽しみです。